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Amazon輸出のVAT登録とEORI登録について

弊社のAmazon輸出コンサルティングサービスをご利用の方を対象にEU圏内での商品販売に必要なVAT登録とEORI登録のサポートを行なっております。

VAT登録はどのような場合に必要?

VAT登録はどのような場合に必要?

国際郵便

Amazon輸出において、個人宅や店舗宛てに直接発送する手法を検討している場合、多くの出品者がVAT登録の必要性について誤解を抱く傾向が見られます。これは、「輸出手続き」であるため課税対象外であると考えるのが自然な反応だからです。しかしながら、EU諸国における付加価値税法(以下、VAT法)は非常に複雑であり、単純な輸出概念だけで判断すると重大なコンプライアンス違反を招くリスクがあります。ここでは、国際郵便による直接出荷が原則としてVAT登録不要とされる理由とその例外状況について詳しく解説します。

まず基本となるのは、「第三国宛てへの輸出品」はEU域内での課税対象外というルールです。日本からドイツやフランスなどのEU加盟国へ、日本の郵便局または国際courier(運送業者)を通じて商品を送る場合、これは「輸出」とみなされます。この際、現地の消費者が関税込で商品を受け取るケースが多く見られますが、VAT登録の義務は出品者であるあなたには生じません。代わりに、現地での通関手続きにおいて、特定の金額未満の商品については簡易な免税措置や低額品目の非課税対象となる仕組みが存在します。

具体的には、EU域内への輸入貨物価額が150ユーロ以下の場合、「IOSS(インポーツ・ワンストップ・サービス)」という制度の対象となります。ただし、この制度はあくまで「販売価格にVATを含んだ状態での決済」を前提としています。もしあなたがAmazon Seller Central上で設定している価格に税が含まれておらず、取引時に別途消費税を支払う形になっている場合でも、国際郵便の低額品目としては扱われる可能性があります。しかし、近年ではEU側が課税徴収体制を強化しており、このIOSS制度を利用した適切な申告を行わないと、現地で追徴課税や罰則の対象となる可能性が高まっています。

VAT登録が必要ないとされる主な理由は、「資産の譲渡」ではなく「貨物の移動」という性質にあります。VATは基本的にEU域内での消費に対して課税される税金です。日本から直接発送する場合、商品は現地に在庫を持たずに届くため、現地市場における付加価値創造プロセスが極めて限定的であると解釈されることが多いです。したがって、小規模な個人輸出や少量の卸売取引であれば、複雑な登録手続きを回避できるのは理にかなっています。

ただし、「原則不要」であっても注意すべき例外ケースが存在します。一つは「資産譲渡」とみなされる場合です。例えば、一時的ではあるものの大量の商品を一度に送り込み、それが現地で在庫として管理されたり再販売の準備が整ったりするような形態になると、単なる輸出品ではなく現地での商業活動と見なされるリスクがあります。また、特定の国々(デンマークやオーストリアなど)では、無登録でも一定額以上の取引がある場合に自発的な申告を求められるケースがあり、これを怠ると法的トラブルに発展する恐れがあります。

さらに重要なのは、「非課税輸出品目」の定義です。すべての商品が自動的に免税されるわけではありません。例えば、アルコール類やたばこ製品など、特定の規制対象商品はVATとは別に個別の消費税や excise duty(消費税法)の対象となるため、これらを取り扱う場合は別枠での対応が必要になります。また、「第三国宛て」とはEU加盟国以外を指しますが、ノルウェーやスイスなどはEU非加盟ながら関税同盟の一部に参加しているなど独自のルールを持つ場合があり、一概に「輸出=免税」と割り切れない事情もあります。

誤解を防ぐために明確化すべき点は、「国際郵便での直接発送」がVAT登録不要となるのはあくまで「出品者が現地法人を持たず、在庫も持たない直販モデル」に限られるということです。もしあなたが現地に倉庫を借りており、そこから顧客へ個別に配送を行うような状況であれば話は別です。そのようなケースでは、「国際郵便」という手段を使っていても、実質的には「現地からの出荷」とみなされ、VAT登録義務が生じます。

また、Amazonのプラットフォームポリシーと各国の税法は常に連動して変化しています。過去には150ユーロ以下の免税枠が大きく見直される動きがありましたが、2026年現在においてもこの境界線は厳格に運用されています。「ちょっとなら大丈夫だろう」という軽視が、後々の税務調査で大きな負債となるケースも少なくありません。したがって、「国際郵便だから登録不要」と安易に考えず、取引金額や商品カテゴリーに応じて適切な tax code(taxコード)の設定を確認することが不可欠です。

さらに、B2C(企業対消費者)だけでなく、稀なケースとしてB2B(企業間取引)が含まれる場合も考慮する必要があります。もし個人宛てではなく現地の法人へ直接発送する場合、その取引が「逆課税対象」になるかどうかが鍵となります。多くのEU諸国では、登録番号を持つ事業者間の取引はVATの納付義務が取引先側に移転する仕組みがあります。しかしながら、これは出品者側のVAT登録を完全に免除するものではなく、「登録番号を持っていること」が前提となるため、結果的に登記が必要なケースも生じます。

このように見落としがちなのが「小口輸送手段」としての国際郵便です。エアメールや小包は課税軽視の対象となりやすいですが、通関時のランダム検査で問題が発覚すると、過去の全取引履歴をさかのぼって追徴される可能性があります。そのため、「登録不要」であることの裏には、適切な記録保存と申告義務が伴っていることを理解しておく必要があります。

具体的対策としては、Amazon Seller Centralの「税務設定」において、配送先の国ごとのVATコード(税額計算ルール)を正しく適用しているか定期的に点検することが推奨されます。特に低価格帯商品を多数出回らせている場合、「150ユーロ以下」を超えないよう梱包単位や販売戦略を見直すことで、簡易なIOSS登録の手間とコストを抑えられる可能性があります。

また、海外の税務アドバイザーに相談する際にも「国際郵便での直販」という条件を明確に伝える必要があります。単に「輸出している」とだけ言っても、「FBA利用」「現地倉庫からの発送」などによって回答は大きく異なるからです。「国際郵便=無登録OK」という図式が通用するのは、あくまで特定の条件下のみであることを念頭に置くべきでしょう。

最後に、消費者側への影響にも触れておきます。VAT未対応の輸出では、受け取り時に現地税関で追徴課税を請求されることがあります(ただし150ユーロ以下はIOSSにより事前徴収が推奨)。これが発生すると顧客満足度が低下し、返品率の上昇やアカウントヘルスへの悪影響につながります。結果的に「登録しないことが節約になる」という短絡的な思考こそが、長期的なビジネス成長を阻害する要因になり得るのです。

1. 国際郵便におけるVAT非課税の条件とリスク管理

国際郵便

  • 第三国宛て輸出は原則としてEU域内でのVAT納付義務が生じない。ただし、これは貨物が現地に留まらない場合に限る。
  • 150ユーロ以下の商品についてはIOSS制度を活用し、購入時点でVATを徴収する仕組みが主流となっている。これにより通関時の遅延や追徴課税を防ぐことができる。
  • ただし、「資産譲渡」とみなされる大量的一括配送や、特定の規制品目(アルコール等)については別枠の税法適用を受けるため注意が必要である。
  • B2B取引の場合、逆課税制度が適用されることがあるが、出品者がVAT登録番号を持っていることが前提となるケースも存在するため一概に免除とは限らない。

現地の倉庫を利用(FBA販売)

FBA(Fulfillment by Amazon)を活用した輸出ビジネスは、物流効率の向上と顧客満足度の確保において極めて有効な手段です。しかしながら、「Amazonが配送を請け負ってくれるから税務処理も自動的に行われる」というのは大きな誤解であり、最も危険な認識の一つと言えます。現地の倉庫に在庫を置くという行為自体が、その国における「経済的な存在(PE:恒久的施設)」または少なくともVAT上の課税事業者としての要件を満たすため、販売額に関わらず厳格なVAT登録義務が生じます。

FBA利用時の最大の特徴は、「納品先国の法律に従う必要がある」という点です。例えば、ドイツの倉庫に在庫を置き、イギリスやフランスへ配送する場合でも、その商品はすでにEU域内(※英国脱退後の扱いを除く)から出ているため「輸出」には該当しません。「国内販売」とみなされ、現地のVAT税率が適用されます。したがって、各国それぞれの登録基準を満たすかどうかにかかわらず、「在庫があること」自体が登録義務のトリガーとなります。

このルールを理解していない出品者は多く存在します。「1年間の売り上げが500ユーロしかなくても…」という声も聞かれますが、FBAの場合、売上高は関係ありません。倉庫に商品があれば即座に登録が必要なのです。これはEUのVAT指令における「遠隔販売」および「倉庫保管に基づく供給」という定義に基づいています。

さらに注意すべきなのが、「マルチチャネル・フイルメント(MCF: Multi-Channel Fulfillment)」の利用です。Amazon以外の自社ECサイトや他のマーケットプレイスから受注した際にも、FBAの倉庫を使って配送を行うことができます。この場合も同様にVAT登録義務が生じます。しかも重要なのは、これらの取引を合算して判断する必要がある点です。

VAT登録が必要な国は、「在庫がある国」だけでなく、「販売先のある複数のEU加盟国すべて」に及ぶ可能性があります。例えば、ドイツのFBA倉庫からフランスへ配送する場合、ドイツでは「在庫保有による国内供給」とみなされVAT登録が必要です。同時に、フランスに対しても「遠隔販売」として扱われるため、現地のVAT納付義務が生じます。

1. 各国における年間売り上げ閾値(Threshold)と登録基準の違い

  • FBA利用時であっても、「売上高がゼロでも」倉庫所在地でのVAT登録は必須である。これは「在庫の保管」という経済的実態に基づく。
  • B2C遠隔販売の場合、各国ごとに異なる年間閾値(Threshold)を超えた時点で、その国での追加的なVAT登録または申告義務が生じる場合がある。

それぞれの国の基準を具体的に確認することで、どの程度までなら簡易な手続きで済むのか把握できます。以下に主要EU諸国のB2C遠隔販売における年間閾値の一例を示します(※これらは参考となる標準的な数値であり、最新の法令改正により変動する可能性があるため必ず現地の税務当局情報を参照すること)。

現地の倉庫を利用(FBA販売)

  • ドイツ: 10万ユーロ。この金額を超えると登録が必要になるケースが多いが、FBA利用時は在庫保有のため別の観点でも対応が必要となる。
  • DENMARK(デンマーク): 28万DKK(約4万円超)。比較的低めの設定となっている国であり、注意喚起が必要な水準である。
  • AUSTRIA(オーストリア)、BELGIUM(ベルギー)、BULGARIA(ブルガリア)など: 多くのEU諸国で3万5千ユーロ前後が一つの目安とされている。これを超えると遠隔販売としての登録義務が生じる。
  • GREAT BRITAIN(イギリス): 7万ポンド。英国はBrexitによりEUとは別枠となったため、独自の基準が存在する。ただし、EU域内のFBAから直接発送する場合の扱いは複雑であるため専門家の助言が推奨される。

2. マルチチャネル利用時の複合的な登録義務とリスク管理

  • FBAマルチチャナルサービスを利用し、Amazon以外のサイトから注文を受けた場合でも配送元の倉庫所在地でのVAT処理が必須となる。
  • 複数の国へ商品を送る際、「在庫保有国」と「販売先各国」の双方で登録要件を満たす可能性がある。これを「多国籍登録義務」と呼ぶことがある。
  • 例えばドイツに倉庫を持ち、フランス・イタリア・スペインへ配送する場合、最大4か国のVAT処理を行う必要が生じる場合もあるためコストと手間が跳ね上がる。

FBAビジネスを成功させるためには、「登録の手間」をいかに最小限にしつつコンプライアンス違反を防ぐかが鍵になります。具体的には、各国の閾値(Threshold)を超えないよう販売戦略を立てるか、あるいは最初からすべての対象国で一括登録を行ってしまうという選択肢があります。

3. B2B取引とIOSS適用外のケースにおけるVAT処理の違い

  • FBAであっても、在庫を現地の法人へ卸す「B2B取引」の場合は逆課税制度が適用されるため、出品者側での納付義務は生じない場合がある。
  • B2C販売において150ユーロ超の高額商品を送る場合はIOSSの対象外となる。この際、現地でVATを徴収・申告する仕組みが必要となり、登録が不可欠になる。

VAT登録は単なる「事務手続き」ではありません。コンプライアンス違反が発覚すると、罰金だけでなくアカウントの停止という致命的なダメージを受けかねません。「FBAならAmazon側でやってくれる」という幻想を捨て、「自社の在庫管理と税務責任は自分にある」と強く認識することが重要です。

4. 具体的な登録手順と維持コストへの備え

  • VAT登録には現地の代表者(Tax Representative)が必要となる国が多く、その確保に時間がかかる場合がある。事前に準備を進めておくことが望ましい。
  • 定期的なVAT申告(四半期または月次)が義務付けられるため、会計ソフトの導入や専門家の依頼といった継続的なコストが発生することを覚悟する必要がある。

FBAを利用した輸出ビジネスは規模を拡大しやすい反面、「税務上の足場」も同時に整えていかねばなりません。特に「現地の倉庫」という物理的存在がある以上、その国での活動とみなされるのは避けがたいのです。「国際郵便で直販している間は登録不要だったのに…」というギャップに驚くケースも多いですが、ビジネスモデルが変われば法適用も変わるのが現実です。

5. 誤解を防ぐための確認事項まとめ

  • FBA利用時は「販売額に関わらず」納品国での登録が必要となるわけではないが、「在庫がある国」および「遠隔販売先の各国(閾値超え時)」で対応が必要な場合が多い。
  • B2B取引や特定のカテゴリー商品では扱いが変わるため、一律の結論を出さず個別ケースを確認する姿勢を持つことが大切である。

VAT登録とEORI登録は密接に関連しています。EORI番号がないとEU域内での通関手続きが行えません。FBA利用時は特にこのEORI番号が必須であり、各国のVAT登記と同時に取得・更新を行う必要があります。「どちらか一方だけ用意しておけばよい」という考え方は通用しません。

6. 継続的なコンプライアンス遵守のためのアクションプラン

  • 毎月売上を国別に集計し、各国の閾値(Threshold)に近づいていないかモニタリングを行う。これにより「いつ登録が必要になるのか」を予測できる。
  • VAT申告期限は厳格であるため、カレンダーへの記載や自動化ツールの活用などして遅延を防ぐ仕組みを作るのが望ましい。

FBA輸出におけるVAT問題は奥が深く、「よくわからないから放置」という選択肢はありません。しかし、正しい知識を持って事前に準備を整えておけば、リスクを最小限に抑えながらビジネスを展開することが可能です。「登録が必要になるまで待とう」ではなく「必要な時点で確実に完了させる」ための体制づくりが重要です。

7. 最終確認:自分自身のビジネスモデルに見合った対応策の選択

  • 国際郵便直販とFBA利用を併用している場合、それぞれのモードで異なるVAT処理が必要となるため、混同しないよう管理システムを整備する。
  • FBAのみで行う場合は、「在庫保有国+遠隔販売先各国」の両方での対応が基本原則であることを再確認し、必要な登録数を試算しておくことが重要である。

VAT登録はコストがかかるように思えますが、不正な手段で逃れようとするリスク管理費用を比較すれば、適切な登記と申告の方が結果的に経済的かつ安全です。Amazon輸出の成功には、「物流」だけでなく「税務」というもう一つの軸での戦略的なアプローチが不可欠なのです。

EORI番号とは

EORI番号とは

EORI番号の正体とEU内での役割

まず初めに、EORI番号とは何かという基本的な定義から整理していきましょう。これは「経済主体登録・識別子」という長い名称を持つコードです。英語では Economic Operators Registration and Identification と呼ばれています。略称として一般的に使用されるため、業界内でもこの呼び方が定着しています。

この番号は、欧州連合(EU)加盟国間の通関手続きにおいて不可欠な存在となっています。具体的には、貨物がEU圏内の港や空港に入ってくる際、税務当局がどの企業からの輸入・輸出なのかを識別するために使用されます。単なる書類上の記載事項ではなく、システム上で必須の認証キーのような役割を果たしています。

EORI番号を取得すれば、欧州各国での輸出入活動で共通して利用可能です。これは非常に大きなメリットと言えますね。例えば、ドイツからイタリアへ貨物を移動させる場合でも、イギリス(EU離脱後)経由の場合でも、一度取得したEORO番号を使い回すことができます。

つまり、国ごとに別々の登録作業を行う必要がないという点です。ビジネス効率化にとって極めて重要な要素となっています。物流のスピードを重視する現代において、この一元管理性は競争優位性にも直結します。

Amazon輸出におけるEORI登録の必須性

次に、なぜAmazon経由での輸出時にこれが特に重要なのかについて解説します。多くの出品者は「商品を送るだけ」と考えてしまいがちですが、EU圏内へ貨物が入国する瞬間には厳格な税関手続きが存在します。

通関書類において荷主情報の記載が義務付けられています。この際、EORI番号が含まれていないと、その货物は税関から「不正または不明瞭」とみなされるリスクがあります。結果として、貨物が現地で滞留したり、返送されたりする可能性が高まります。

具体的には、インボイスや packing list といった書類にこの識別子を入れる必要があります。これを怠ると、通関業者が手続きを中止する場合も少なくありません。「番号がないから確認待ち」という状態が続けば、配送遅延は避けられません。

Alexa Best Sellerを目指すなら、信頼性の高い物流実績が必要です。EORI登録不備によるトラブルは、レビュー評価の低下やアカウント停止リスクにも繋がります。したがって、これは任意ではなく「必須」のコンプライアンス事項として捉えるべきです。

日本企業の場合の取得国と番号フォーマット

最後に、実際にどのように登録し、どのような形式で運用するのかという実務的な観点から見ていきましょう。日本企業がEORI番号を取得する場合、原則として本国である日本の税関に登録するのが一般的です。

JP という国コードが先頭につくフォーマットになります。その後ろに英数字の組み合わせが続きます。この形式は欧州全域で認識されるため、EU内のどの国の通関局にも提示可能です。
ただし、EU内に子会社や支店を持つ場合の話です。

例: JP123456789000

このように、日本の法人番号などを基にした一意の識別子が割り当てられます。もしドイツに現地法人があり、そちらで事業を行う場合は、DE 始まりのEORIを取得することもあります。

しかし多くの中小輸出企業の場合、日本国内の本社所在地から取得し、それをグループ全体やすべての取引先に共有して使用するのが最も効率的です。コストも手間も最小限に抑えられるためです。
登録手続きはオンラインで行える国が多くあります。

登録後の維持管理と注意点

EORI番号を取得したからといって、それで終わりではありません。継続的な利用にはいくつかの注意すべきポイントが存在します。まず挙げられるのが、住所や会社名の変更時の更新義務です。

(1) 情報変更の手続き漏れを防ぐ

  • 本社移転した場合、直ちに税関へ報告する必要があります。
  • 古い情報のまま運用すると、通関拒否の原因になります。システム上のデータと実態が一致していなければなりません。
  • (2) 複数国の登録不要を確認する
  • EORIは一度取得すれば欧州全域で通用しますから、各国で重複申請する必要はありません(一部例外あり)。
  • 無駄な行政手続きを省き、一元管理できる体制を整えましょう。これが健全な輸出業務の基盤となります。

VAT登録の方法

VAT登録の方法

1. VIESへのアクセス

VAT登録の手続きにおいて、まず最初に検討すべきステップがVIESシステムの利用です。このシステムは「VAT Information Exchange System」の略称であり、EU諸国間で事業者のVAT番号を検証するための公式な情報交換プラットフォームとなります。多くの初学者がこの名称を聞き、「ここから申請書や必要な書類を一括でダウンロードできる」と誤解するケースが非常に多いです。しかし、実際の運用においてVIESは「確認ツール」であり「申請窓口」ではないという点を明確に理解する必要があります。

VIESの役割は厳密には、登録したい相手国の税務当局に対して、「その事業者が存在し、有効なVAT番号を持っているか」という事実関係をリアルタイムで照会することに限定されます。したがって、このシステム自体から「申請書PDF」を入手することは不可能であり、もしそのような案内を見かけた場合は信頼性に注意が必要です。正しいアプローチは、まず相手国の税務当局が公式に提供しているポータルサイトや問い合わせ窓口を探すことからはじまります。

VIESへのアクセス方法は極めてシンプルです。欧州委員会の公式サイト内にあるVIESのセクションへブラウザから接続します。ここで必要となる情報は、申請しようとしている対象事業者(購入者)の国別コードとVAT番号のみです。例えばドイツ企業に輸出する場合は「DE」に始まり数字が続く番号を指定することになります。このプロセスを通じて、「その顧客は本当に合法なEU内の事業者なのか」という基本情報を取得します。

なぜ最初にこれを行う必要があるのかというと、B2B取引において課税免除(ゼロ税率)の適用を受けるためには、相手が事実上「登録済み事業者に該当する」ことを証明できる書類が必要になるからです。VIESで確認した結果画面を印刷または保存し、それを請求書に添付することで、「相手は正当な事業者であるため免税処理を行った」というエビデンスを残すことが可能となります。

VIESの検証機能にはいくつかのポイントがあります。まず「有効(Valid)」と表示されるかどうかが最大の関心事です。「Invalid(無効)」やエラーメッセージが表示された場合、その番号は登録されていないか、あるいは期限切れである可能性が高いと考えられます。この時点で取引を強行して免税処理を行うと、後ほど税務当局から追徴課金を受けるリスクが高まります。

またVIESシステムが返す情報は、単に「有効/無効」の二元論ではありません。時には登録名や住所の一部情報が併記されることもありますが、これらはあくまで照会結果であり申請書類そのものではありません。この誤解を解消するために、「確認」と「申請」は全く別のフェーズであることを意識して進める必要があります。

念のため補足すると、VIESシステムがメンテナンス中で一時的に利用できない日もありますので、重要な取引の前日には事前にアクセスできるかテストしておくことが推奨されます。ただしこれが登録手続きそのものの代わりになるわけではないため、あくまで「下調べ」という位置づけで捉えておきましょう。

2. VIESの検証結果を確認

VIESシステムへの接続が完了し、相手先のVAT番号を入力したら、次は表示される検証結果を注意深く確認します。この段階での判断ミスは、後の税務申告において致命的なエラーを引き起こす原因となりますので、慎重に行う必要があります。

最も望ましいのは、「Name and Address(氏名および住所)」と「Valid VAT Number」の両方が一致しステータスが有効であることを確認することです。これにより相手企業がEU内で合法的に事業を展開していることが裏付けられます。もし番号は有効だが、表示される社名が少し異なる場合は、その理由を顧客企業側に尋ねる必要があります。

例えばグループ会社間の統合や支店名の使用などによって表記揺れが生じているケースがあります。この場合でも「同一の法人实体」であることを証明する書類があれば問題ありませんが、VIES上だけで完結しないため注意が必要です。単に番号だけ合致しても、社名が大きく異なっていれば税務調査で不審点として扱われる可能性があります。

次に考慮すべきは、「日付(Date of Validation)」です。VIESの結果画面には通常、その情報をいつ取得したかというタイムスタンプが含まれます。多くのEU諸国の税務当局では、取引時点または納品時点で有効であったことが証明できる必要がありますが、請求書作成時や申告時にこの検証結果を再確認しておくのがベストプラクティスです。

特にB2C(消費者向け)の取引である場合、相手先にはVAT番号が存在しないためVIESでの検索自体が行えません。この場合は「顧客は個人消費のため課税対象」と判断し、原則として出荷先の国で発生する消費税相当分を徴収する必要があります。

VIESの結果がエラーになるケースも多々あります。「システムダウン」「番号の形式不正」などが挙げられます。その際は、相手企業に直接電話やメールにてVAT番号を確認依頼を出します。特に新規顧客との取引時は、誤入力による偶然の一致を防ぐためにも手動での確認プロセスを入れるべきです。

VIESで得た情報は、税務当局へ提出する申請書の一部として添付する必要はありませんが、社内の記録管理(コンプライアンス・ドキュメント)としては必須となります。これを怠ると、「免税適用の正当性を証明できない」として後から課徴金を科されるリスクが生じます。

したがってVIESの確認結果は「取引の安全性を保証するチェックポイント」であり、登録手続きそのものの進行状況を示す指標ではありません。この違いを混同せず、次のステップへと進むための準備段階として捉えてください。

3. 登録申請書の入手

VIESでの検証とは異なりVATの正式な「登録」を行うためには、対象となる国それぞれの税務当局が定める独自の申請書類を使用する必要があります。この申請書を入手する場所こそが、本手続きにおいて最も重要かつ複雑なポイントとなります。

一般的には各EU加盟国の政府機関(税関・財務省に相当する部署)の公式ウェブサイトに「Non-resident registration」や「Importers VAT number application」といったセクションが存在します。ここにアクセスすることで申請書がダウンロード可能ですが、国によってインターフェースや手順が大きく異なります。

例えばドイツではBZSt(連邦中央課税局)を通じて行いますがフランスはAutofranceというポータルを活用するなど各国ごとに入口が分かれています。「EU共通の登録ボタン」のようなものは存在しないため、どの国の番号を取得したいのかを明確に特定する必要があります。

もし対象国によって複数の窓口が存在する場合(イギリスのBrexit以降など)も考慮し、最新の公式情報を確認することが求められます。検索エンジンで適当なサイトを見つけてクリックするのではなく必ず政府ドメイン(.govや.gsi等)から辿るようにしてください。

4. 登録申請書の記入

入手した申請書は通常現地の言語での記載が基本となります。英語に対応している国もありますが、すべてにおいて保証されているわけではありませんので注意が必要です。特に東欧諸国や南ヨーロッパの一部では現地語必須の場合が多く誤字脱字による不受理リスクが高まります。

記入内容としては法人登記簿謄本(Certificate of Incorporation)のコピー通帳の情報代表者情報などが求められます。これらはすべて翻訳公証が必要なケースが大多数です。英語でのみ提出できる国であっても専門的な税務用語の使い方が問われるため素人判断は危険です。

5. 登録申請書の提出

記入完了した書類を指定された窓口へ郵送またはオンラインアップロードします。処理には数週間から数月かかることが一般的です。審査通過後に発行されるVAT番号を使用して初めて輸出取引での免税適用が可能となります。

EORIの取得について

EORIの取得について

EORI番号の必要性を確認

EORI番号とは、経済事業者登録及び識別番号を意味する重要な用語です。この登録制度は、欧州連合域内における貨物の輸出入手続きにおいて必須となる要素となります。日本からEU諸国へ商品を輸出する場合や、逆に輸入を行う際には、必ずこのEERI番号の取得が求められます。これは単なる任意の登録ではなく、税関での通関処理を完了させるための法的要件です。

EORI番号が存在しない状態で貨物を移動させようとすると、税関手続きで大きな遅延が生じます。場合によっては货物が出国できない事態も発生し得ます。つまり、EORI番号は単なる書類上の数字ではなく、実質的な貿易の通行証のような役割を果たしています。したがって、輸出輸入ビジネスを円滑に進めるためには、早期かつ正確な取得が必要不可欠です。

EORI番号の発行主体に関する基本的なルールを理解することが重要です。通常、EORI番号は事業者が設立されている国や、EU域内における主要活動拠点がある国で申請する必要があります。日本企業の場合でも、欧州での営業拠点が存在すれば、その所在地の当局に対して登録を行うのが一般的です。

もしEU内に物理的な事務所や倉庫がない場合であっても、最初の貨物が通過するEU諸国の税関事務局に申請する場合が多いです。ただし、各国によって具体的な窓口や手続きの詳細が異なるため注意が必要です。多くの支援機関ではVAT番号とのセット取得が可能であることが知られており、これにより効率的な登録プロセスを実現できます。

VAT登録とEORI登録のフローは非常に似通っています。どちらも事業者の基本情報から始まり、税務当局や関連部門への提出を経て承認される流れです。そのため、VAT申請のプロセスを既に経験している企業にとっては、ハードルが比較的低いと言えます。しかしながら、全く同じではない点も存在します。

VATは主に付加価値税の納税義務に関連するものである一方、EORI番号は関税や貿易統計などの側面が強いです。この目的の違いにより、求められる情報の詳細さや確認プロセスに微妙な差異が生じる場合があります。したがって、VAT申請の経験だけで完全に安心せず、個別の確認を行う姿勢が必要です。

EORI登録を怠ることによるリスクも明確です。荷物が税関で留置されたり、罰則対象となったりする可能性があります。特に近年ではEU内でのコンプライアンス管理体制が強化されており、不正や不備に対する監視は厳格化しています。事業者の信頼性を維持するためにも、適切なEORI登録の実施は避けて通れない課題です。

EORI番号が必要な具体的なシナリオも多岐にわたります。例えば、EU内の倉庫から第三国への再輸出を行う場合や、保税地域での作業に関わる際などです。また、特定の製品カテゴリにおいて規制対象となる商品を取り扱う場合にも必須となります。これらのケースを事前に把握し準備を進めることで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。

EORI番号の申請には時間がかかるというイメージを持つ向きもありますが、実際は迅速な処理が期待できる場合があります。必要な書類が完備されれば数日から週単位で発行されることも珍しくありません。ただし、情報の不足や誤記がある場合は承認が遅延するため事前チェックが重要です。

またEORI番号には有効期間の概念があります。登録した情報が変更された場合更新手続きが必要となる場合がありますので注意してください特に住所移転や代表者の変更といった法人情報の変更に伴う対応は必須ですこれを怠ると登録が無効になる可能性もあります

EORI番号の取得申請書の入手

EORI番号を取得するための第一歩として、適切な申請書を入手する必要があります。この手順を誤ると提出自体が拒否される可能性があるため慎重に行いましょう通常は各国の税関ウェブサイトや財務省公式サイトからダウンロードできます。

EU諸国によって手続き方法に違いがありますイギリスの場合脱欧後には独自のシステムへ移行しましたそのためGBで始まるEORI番号が必要となります一方他の欧州連合加盟国ではXIまたは国の頭文字に続く形式を採用していますこの点の最新性を確保することが重要です

申請書の入手先として一般的なのは該当国の税関当局が運営しているポータルサイトですここには多言語での説明資料も用意されていることが多く日本語対応が含まれていない場合でも図解やサンプル記入例を通じて理解を助ける工夫が見られます。

またEU全体の統合的な支援プラットフォームを利用することも可能ですこれらのシステムは複数の国に対応しておりユーザーフレンドリーなインターフェースを提供していますただし最終的には各国の具体的な規定に従って進める必要があるため留意が必要です

VAT登録をサポートしている会社を通じて申請書を取得する方法も効率的です多くの専門業者が両方の手続きをセットで扱っており書類作成の手間を省くことができます彼らの経験則に基づいたアドバイスは複雑なルールを理解するのに役立ちます

オンラインでの入手だけでなく郵送による請求も可能な場合があります特に小規模事業者や個人経営者にとって紙媒体の方が扱いやすい場合もありますただし現代ではデジタル化が進んでおり電子データの受け取りが推奨される傾向にあります

EORI番号の申請書は単なる様式ではありません正確な情報を記載するためのガイドラインでもありますそのため配布元から提供されている添付書類や説明書をよく読むことが成功への鍵ですこれらの資料には頻繁に見落としがちな注意点も含まれています。

さらに注意すべき点として、どの国に対して登録を行うべきかという選択があります。これは事業者の本拠地や主要活動場所に基づいて決定されます誤った国の申請書を選んでしまうと承認されないため慎重な判断が必要です専門家の助言を求めるのが安全策です

取得申請書の記入

EORI番号の申請書を入手したら次に重要なのは正確かつ完全に入力することです。この過程での不備は却下や延期の原因となりますので細心の注意を払ってください特に会社名住所法人番号などの基本情報は既存の登録書類と一致させて記載します。

VAT番号との関連性も考慮する必要があります多くの国ではEORI申請時にVAT番号の入力が求められますこれらがリンクすることで承認プロセスがスムーズになりますもしまだVATを取得していない場合はその旨を明記し併せて取得を進める計画を立てます

輸出入活動に関する詳細情報の記載も必須項目です具体的には主要な取引先や取扱商品のカテゴリーなどを記入しますこれにより税関側が事業者の性質を理解し適切な承認判断を下すことができます虚偽の情報を入力することは法的リスクを伴いますので厳禁です。

EORI番号発行範囲についての指定が必要な場合がありますすべてのEU諸国で有効となる広域登録を希望する場合はその意向を申請書に明示します一方特定国のみでの利用目的であればそれに合わせて選択しますこの決定は将来の業務規模に応じて柔軟に変更可能です

電子署名や押印の有無についても確認が必要です一部の国ではデジタルサインが認められているものの他地域では従来の手書き署名または法人印が必要となる場合があります提出方法によって要件が変わるため事前に規定を精査しておきましょう

記入時の一般的なミスとして住所の表記揺れがあります英語アルファベットでの正確な転記が求められますカタカナや漢字だけの記載は通用しない場合が多いですまた電話番号などの連絡先も国際形式で入力するのが望ましいです

EORI番号申請書の提出後には審査期間が生じますこの間に追加情報の提供を求められる場合があります迅速に対応することが承認への近道です特に税関当局からの問い合わせに対して丁寧かつ具体的に回答する姿勢が評価されます。

最後に、申請書のコピーは必ず保管しておきましょう。これが登録完了の証明となり、将来的な更新やトラブル時の証拠資料となりますデジタル保存だけでなく物理的なバックアップも推奨しますこれにより万が一の際にも迅速に対処できます

Amazon輸出におけるVAT・EORI登録の具体的なシナリオ別ガイド

Amazon輸出におけるVAT・EORI登録の具体的なシナリオ別ガイド

FBA納品時のVAT登録義務とIOSSの関係

Amazon輸出において最も複雑かつ重要な要素となるのが、FBA(Amazon物流)を利用した場合の税務対応です。

多くの出品者が迷うポイントが、「EU圏内の倉庫に在庫を預ける」という行為自体が、現地の事業所とみなされる可能性があるという点にあります。これは直感的には「海外に出荷しているだけなので輸出だ」と感じますが、税務上の扱いは全く異なります。

FBAを利用する場合、商品は一旦日本からEU圏内の倉庫(例えばドイツやフランスのAmazon Fulfillmentセンター)へ移動します。この時点で商品が関門を通過し、現地の市場に供給される準備が整った状態となります。そのため、多くの国では「現地での販売活動」と見なされ、VAT(付加価値税)登録が必要になるケースが多いのです。

具体的にどういった場合に義務が生じるのかを理解することが第一歩です。例えば、ドイツへ商品を送り込みFBAで保管・出荷する場合、年間売上額が一定の基準を超えれば、または単純に在庫を置く行為自体においてVAT番号を取得するよう求められます。これを怠ると、税務当局から重い罰金や取引停止処分を受けるリスクがあります。

ここで注目すべきなのがIOSS(インポジットワンストップサービス)との関係性です。

IOSSは、EU圏外からの商品輸入において、150ユーロ以下の低額な注文に対して消費税を簡素化して徴収・納付するためのシステムです。しかし、FBAで現地に在庫がある場合、このIOSSの適用対象から除外されるのが一般的です。

なぜなら、FBAでの出荷は「EU圏内からの配送」とみなされ、輸入時の課税ではなく「現地での販売時点」でVATが計算・納付される仕組みになるからです。つまり、「150ユーロ以下の商品は免税または簡易徴収でOK」というIOSSの恩恵を受けられない可能性があるのです。

この違いを混同すると、想定外の税金負担や税務申告の不備につながります。「FBAを使っているからVAT登録は不要」「低額商品だから問題ない」と早合点するのは非常に危険です。現地の倉庫を利用する以上、その国ごとの具体的なVAT登録義務と納付方法を正確に理解し、適切な対応を取ることが不可欠となります。

B2C直接配送(FBM)での税務処理の違い

FBAとは対照的に、自社倉庫や日本国内から消費者へ直接発送する「自送」(FBM:Fulfillment by Merchant)の場合の扱いは異なります。

この場合、商品はEU圏内の物理的な在庫を持たずに販売を行うため、「輸出」として扱われる要素が強くなります。基本的なルールとして、商品がEUを離れて日本から直接配送されるのであれば、原則的にVAT登録は不要と考えるのが一般的です。

ただし、ここで注意すべき例外ケースがあります。「国際郵便」や「小包便」を使って発送する場合の扱いの違いです。

もしあなたが郵政サービスなどのキャリアを利用して直接出荷している場合、その取引は明確な輸出行為とみなされる傾向があります。この場合はVAT登録が必要ないのが原則です。しかし、これはあくまで「純粋な輸出ビジネス」である場合に限定されます。

例えば、個人間での資産譲渡や、商業目的ではない一時的なものなどでは事情が変わる可能性があります。また、「国際郵便」といっても、配送方法や宛先の国によっては現地の通関手続きが必要になることもあります。その際、簡易な輸出申告だけで済むのか、それとも何らかの登録が求められるのかを慎重に判断する必要があります。

B2C直接配送の場合最大のリスクは「隠れた在庫」として扱われることです。もしあなたがEU圏内に第三者倉庫(3PLなど)を利用し、そこへまとめて送ってそこから個別に出荷している場合、それは実質的にFBAと同等の扱いになる可能性があります。

つまり、「直接発送」でも物理的な在庫が現地にある限りVAT登録義務が生じる恐れがあるのです。

B2C戦略を検討中の方は「どこから出荷するか」「誰の名義で保管しているか」という点を見直しましょう。単にAmazonの配送オプションをFBMにしたからといって、税務上のリスクが消滅するわけではありません。発送経路と在庫所在場所の整合性を確認し、必要に応じてVAT登録の有無を検討することが重要です。

英国市場への出品に必要な特別な注意点

Brexit(イギリスのEU離脱)以降、英国は独自の税制を構築しています。そのため、EU圏内と英国では全く異なるルールが適用される点に留意が必要です。

多くの人が「ヨーロッパ市場」と一括りに考えがちですが、英国への輸出は今や完全に別物のビジネスとなります。EU向けにはVAT登録が必要な国でも、英国向けには別の対応が必要になるケースがありますし、その逆もあります。

特に重要なのがEORI(経済活動者識別番号)の取得です。

EORIは商品が関門を通過する際に必要な識別番号ですが、Brexit後からEUと英国間の取引において必須となりました。もしあなたがUK向けの出品を行う場合、このEORI登録を行っていないと通関手続きが進まず、在庫が入荷できませんし、輸出も完了しません。

また英国独自のVATルールとして、「低額商品に対する税徴収」の仕組みが変わっています。

EUではIOSSというシステムで簡素化されましたが、英国には類似した「Postponed Accounting(延期納付)」などの制度や、プラットフォームによる代行者としての課税義務などがあります。Amazonのような大型マーケットプレイスを利用している場合、プラットフォーム側がある条件下でVATを徴収・納付する場合もありますが、自分で登録して管理する必要があるケースも多く存在します。

さらに気になるのが「英国とEUの両方に在庫を持つ」シナリオです。

FBAを使って英欧両方の倉庫に商品を送る場合、それぞれの国でVAT登録を行う必要があります。これは独立した2つの市場だからです。例えばドイツ向けのFBAとイギリス向けのFBAは別物であり、それぞれ異なる税務当局へ申告を行います。これを混同すると二重課税や未納付という深刻な問題を引き起こします。

英国市場への参入を考えるなら、「EU向け」と「UK向け」を明確に分離して考える習慣をつけましょう。

EORIの取得方法から、それぞれの国でのVAT登録の手順、そして在庫管理における税務上の区別まで。一つひとつのステップで慎重に進めることが成功への鍵となります。複雑に見えるルールも、正しく分解して理解すれば対応は可能です。まずは英国市場特有の要件を把握することから始めましょう。

Amazon輸出のVAT登録とEORI登録についてまとめ

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